「ミス・パイロット」の見どころを航空業界の裏側から徹底解説!

ミス・パイロット ― なぜ堀北真希が女性パイロット役に起用されたか

10月スタートのフジテレビ系「ミス・パイロット」(火曜後9・0)を主演するのは、女優、堀北真希(24)だ。

堀北真希の連続ドラマ主演は、庶民に愛された終戦直後の町医者を好演し、高視聴率を記録したNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(NHK・2012年4月〜9月)以来の約1年ぶり、フジテレビの連続ドラマ主演は『アタシんちの男子』(2009年4月〜6月)以来、約4年ぶりとなる。

実際の女性パイロットとは、どういった人物像なのだろうか。パイロットの世界は、完全な男性社会である。預かっている人命は重く、ほんの小さなミスが大事故につながる可能性があり、厳しく叱責されることもある。それは旅客を乗せていない訓練機を操縦する候補生であっても将来はその責務を担う訳であるから、厳しさは同じである。

将来パイロットとして仕事をする者を養成している訳であるから、教官は実に厳しく、それは女性候補生であっても変わらない。そのような世界で生きているためか、あるいは航空会社の採用担当者がこの世界でやっていけそうな人物を選んでいるためか、どちらかというと男勝りなタイプの女性パイロット(ミス・パイロット)が多いような印象を受ける。

ミス・パイロット また、女性がパイロットという職種に進出してきたのは比較的最近であるため、訓練施設も航空機のコックピットも全て男性が使うことを想定して作られている。女性用のロッカールームなどもなかったりするので、別の使えそうなスペースを利用したり、女性用トイレが少なかったりと色々と気苦労はあるようである。

また、共にパイロットを目指す候補生達と本音で語り合ったり、励ましあったりできることは、厳しい訓練において大きな心理的支えになる。しかし、女性候補生は周りが全て男性候補生であることがほとんどなので、男同士の交流と完全に同じようには交流できないだろう。さらに、教官側も男女同様に扱うことが原則とは言っても、実際に女性候補生を教えたことのある教官はほとんどいないので、教えにくいのは確かである。そのため、女性候補生は常に孤独を感じながら戦っているという側面もあるかもしれない。

また、現代の飛行機の操縦桿は、車のパワステと同じく油圧が効いているのでそこまで力は必要ないが、軽く作りすぎると逆に機体をコントロールしづらいため、ある程度の腕力は必要な設計となっている。また、飛行機のコックピットは、機種が同じであれば基本設計が全世界共通の仕様となっているので、欧米の大柄な男性パイロットでも収まるサイズに作られている。

すなわち、日本女性に多い小柄な体型だと足がラダー(方向舵)に届かなかったり、目線の位置が低すぎて計器類からウインドウの外に視線を移しにくかったりするのである。そのため、多くの航空会社では採用の際に身長制限があり、女性としては比較的ガッチリとした体型の大柄な人が女性パイロット(ミス・パイロット)となっていることが多い。

さて、堀北真希はそういった女性パイロットのイメージに合うだろうか?どちらかというと控えめで可愛らしく、小柄な印象のある堀北真希は、はっきり言って実際の女性パイロット(ミス・パイロット)とは全く正反対の人物像である。順当なキャスティングでいくなら、吉高由里子や黒木メイサ、柴咲コウのような男勝りなイメージのある女優の方がふさわしいだろう。

ではなぜ、堀北真希が主演に起用されたのだろうか。あえて実際の女性パイロット(ミス・パイロット)と逆のイメージを持つ堀北真希を起用することによって、男性社会の中で生きる女性パイロット(ミス・パイロット)とはどのような想いや苦労を抱えつつ、訓練や仕事に取り組んでいるのか、ということを製作サイドは浮き彫りにしたい狙いがあるのではないだろうか。

プロデューサーの後藤博幸氏は、「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」(2007年)で、女性であることを隠して男装して男子校に入学する主人公に堀北真希を起用している。男性ばかりの中で男性のように生きていかなくてはならない状況でも、本来は女性であることの葛藤を好演した堀北真希は、この女性パイロット(ミス・パイロット)という役に適任であろう。

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