「ミス・パイロット」の見どころを航空業界の裏側から徹底解説!
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ミス・パイロット ― 第一話(予告動画)の解説

ミス・パイロット 第一話予告動画

30秒間の予告動画は、全日空の就職説明会で手塚晴(堀北真希)が質問をするシーンから始まる。

晴「飛行機に乗ったことがないのですが、それでもパイロットになれるでしょうか?」

パイロットになるのに必要な要件はなんだろうか。もちろん適性検査や航空身体検査に通らなくてはいけないが、それらは明らかな身体的障害などがなければ、採用試験を受けてみないと分からない。全日空の場合、大卒(見込み)資格があれば受験できる。飛行機に関するライセンスは、全て入社してからの訓練で取得するので、受験時に持っている必要はない。

英語試験で良い成績を収めれば、もちろん選考を有利に進めるとは思うが、それも絶対ではない。これも入社してからの教育と努力で得ることができるからである。

ミス・パイロットのキャッチコピーは「私は空に恋をした」である。大切なのは、単純に「空が好き」ということなのかも知れない。

ミス・パイロット

次は、機長の篠崎一豊(岩城滉一)と国木田孝之助(斉藤工)がコックピットに座って話をしているシーンだ。

篠崎「どんな人間がパイロットに向いているんだろうな」

一見華やかに見えるパイロットの仕事は実に地味だ。何百万回に一回と言われる事故を防ぐため、常に万が一に備えていなければならない。エンジン火災の操作手順など、引退するまでほとんどのパイロットが実際には遭遇しないときのための手順なども、常にすぐにできるようにしておかなければならない。それらの能力を維持するためには、実に地味な努力が必要である。そういった努力ができる人間であることが求められる。

パイロット候補生について言うなら、素直な性格であることが大切だ。パイロット候補生に与えられる訓練時間は、候補生が学ぶべきものを考えると実に限られている。この限られた時間を有効に生かすためには、教官の教えを素直に吸収することが大切なのである。

ミス・パイロット

次は、アメリカの訓練所で、ミス・パイロット達の教官となった国木田機長が候補生を前に言い放つ。

国木田「緊急用の言葉、一個だけ教えてやるよ。セイ アゲイン」

セイ アゲイン(Say again.)とは、文字通り「もう一度言ってください」である。「もう一度言って下さい」が緊急用?一体どういう意味なのだろうか。

この「セイ アゲイン」は航空無線で定められている用語である。管制官の指示が聞き取れなかったとき、この用語を使うのである。一般社会でも、指示の聞き間違いが問題となることは多いが、航空無線での指示の聞き間違いは致命的な事故につながりかねない。コース変更の指示、高度の指示を聞き間違えて、飛行機が管制官の指示と異なる動きをしてしまったら、他の飛行機と空中衝突コースに入る可能性があるからである。

特に、初等訓練が行われるアメリカの訓練所では、この「セイ アゲイン」は航空無線で大頻出ワードとなる。英語での無線通信になれないパイロット候補生に対し、英語が母国語のアメリカ人管制官はマシンガントーク状態だ。聞き取れない部分が出てきて当然である。

外国人と英会話しているときのことを想像してほしい。何を言っているか分からない外国人に対し、全ての内容が分かるまで言い直してもらえる人はどれくらいいるだろうか?なんとなく分かった時点で流してしまう人が多いだろう。その心理はパイロット候補生も同じである。しかし、管制官の指示が曖昧なまま流してしまうのは、前述の理由で非常に危険とされる。そのため、教官はパイロット候補生にこの「セイ アゲイン」が躊躇なく言えるように徹底的に教育を行うのである。

ミス・パイロット

次は、就職活動中の晴と千里の会話だ。

千里「私たちはこれからその枠を奪い合うライバルなの。友達じゃないんだから馴れ馴れしくしないで」

晴「お互い頑張ろうね」


千里は東大大学院の超の付くエリートだ。激しい受験戦争でライバルを蹴落とし、その頂点に立った訳である。晴に対しても、ライバルとしての敵対心を感じさせる言葉である。一方、晴は競争心がないのか、のほほんとした発言だ。

千里は東大に進学しているということは、激しい受験戦争を勝ち抜いてきたはずだ。周りの受験生に負ければ、自分の合格という枠が奪われるので、相当に自力で努力してきただろう。

正しいのは、千里だろうか。あるいは、晴だろうか。これから航空会社の採用試験で限られた候補者の枠を奪い合う訳だから、千里の言葉はある意味正しい。

だが、千里はパイロットの訓練という世界で、これまでの競争社会とは別の難しさを感じることになるだろう。パイロットの初等訓練とは自分一人でどれだけ努力してもできない部分の要素があり、教官に教わることが多い。また、パイロットの訓練とは、他者との競争ではなく、自分ができるかできないか、だけの世界だ。極端な話をすれば、同期が全員優良な訓練成績を収めれば全員パイロットになれるし、全員不良なら全員落第だ。

そのため、同期とは良きライバルという側面はあるが、基本的には協力できる信頼関係を築けた方が有利だ。自分の失敗を周囲に話すことは、一般社会では自分の評価を下げるので躊躇することが多いだろう。しかし、パイロットの訓練では、限られた訓練時間で全ての失敗を経験することはできないため、それらは同期で共有されなければならない。

プライドが高すぎる千里のような性格は、パイロットの訓練ではマイナスに作用するだろう。全て自力で勝ち上がってきたプライドの高い千里が、同期とうまく協力できないことによって初めて挫折を感じる、という展開があれば面白い。だとすれば、それはこういった背景を描き出すものだからだ。

ミス・パイロット

最後は、晴がコックピットでスラストレバーを押し出し、エンジン出力を上げるシーンだ。

晴「動いた…」

初めて飛行機が自分の意のままに動き出した感動は、長年パイロットとして仕事をしている人間にとっても忘れ難いものである。晴もこの感動をきっと忘れないことだろう。

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