「ミス・パイロット」の見どころを航空業界の裏側から徹底解説!

ミス・パイロット ― エアラインパイロットになるための3つの道

堀北真希が演じるのは、厳しい道のりに挑む主人公・手塚晴(てづか・はる)だ。東京・蒲田にある居酒屋の娘である。大学4年になり就職活動を行うも、天真爛漫、素直でウソがつけない性格が災いし、手当り次第に受けた会社はすべて不採用。就職活動に苦戦し、万策尽きた晴の目に入ったのは、全日空の募集要項だった。晴は、全く考えになかった航空業界の試験を受けてみる。

晴は、足を運んだ会社説明会では長年パイロットを夢見てきたエリートや飛行機マニアに圧倒されながらも、思いがけず空を飛ぶ楽しさに魅せられ本気でパイロットを目指すことになる。あれよあれよという間にギリギリ合格し、女性パイロット(ミス・パイロット)への道を歩むことになった。しかし、そこに待っていたのは、予想を超えた厳しい訓練の数々だった…。

ミス・パイロット 主人公は蒲田の居酒屋の娘、という設定であるが、蒲田の居酒屋では実に航空業界関係者がよく集まって飲んでいるところを見かける。それは蒲田が羽田空港から京急空港線で1本で行ける立地で、居酒屋などが並ぶちょっとした繁華街になっているからである。航空会社に入社すると、パイロット候補生は羽田空港近くの寮に住む。それは、訓練中は勤務時間外でも、同期同士の情報交換や操作方法を同期ペアで練習したりする必要があるからである。訓練の息抜きに飲みに行こうか、となると、手軽に蒲田になる訳である。また、同じようにキャビンアテンダント(CA)やグランドスタッフもよく蒲田で飲んでいるのを見かける。

パイロットの訓練というのは、基本となる教科書のようなものはあるのだが、本からは学べない感覚的なものの部分が多い。それらは教官や先輩から教わることになるので、現代でも徒弟制度的な雰囲気が色濃く残っている。その結果、上下関係が厳しい世界となっており、会社の先輩を見かけたら「ご挨拶」は絶対である。蒲田で飲んでいる集団は、直接顔見知りの人がいなくても、会話の内容から航空業界関係者であることはすぐに分かる。候補生が蒲田で飲んでいて、先輩らしき集団が近くにいた場合、後から「挨拶がなかった」と言われないように挨拶に行ったら、同業他社の人だった、なんてこともよくあることである。

さて、航空会社のパイロットには、どうやったらなれるのだろうか。大きく分けて3種類の道がある。1つ目は、公的エアラインパイロットの養成機関である航空大学校(航大)に入ってライセンスを取得し、卒業時に航空会社に採用してもらう道である。2つ目は、海外などで自費でライセンスを取得し、航空会社の既卒枠に応募する道である。これは最近設立の相次いだLCC(格安航空会社)などに多い採用方式である。これら2つの道では、小型機を操縦するのに必要なライセンスまでを入社前に取得し、航空会社に採用された後の訓練で大型旅客機を操縦するのに必要なライセンスを取得する。

3つ目は、普通の大学を卒業し、一般企業と同じように就職活動して航空会社の社員として採用してもらう道である。ミス・パイロットの主人公が目指すのがこの「自社養成」という道である。ライセンスを何も持っていない普通の大卒なので、飛行訓練は入社してから一からやることになるので、長い道のりである。

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